クモハ451形+クハ1651形の密着連結器
6本あった451系クモハ451形+クハ1651形の2両編成。その密着連結器(以後「密連」と略)についてまとめました。
赤電の連結器
赤電の密連には大別して2種類があります。
形式名が分からないため、この記事では〈旧型〉、〈新型〉と表します。
〈旧型〉
登場当初は「鐵道省型密着連結器」(「機械」7(3)1934年3月P.1-3)と称され、後に「柴田式密着連結器」と呼ばれるようになりました。
戦前から使用されており、旧型国電でもよく見られます。
密連上部中央のブレーキ管脇に直通管がありません。
〈旧型〉連結器装備車の例(電気連結器付)
〈旧型〉連結器装備車の例
クハ1659+クモハ460の連結部。 西武球場前 1982.4.29 |
〈新型〉
この記事で〈新型〉密連と呼ぶのは、密連上部中央のブレーキ管の両脇に2本の直通管取り付け部があるタイプです。
直通管を必要とする電磁直通空気ブレーキ(HSC)は、西武鉄道の車両において1969年の101系と5000系から採用されたので、それ以前にデビューした電磁自動空気ブレーキ車に装着された〈新型〉密連は、「穴はあるけど使っていない」状態だったと推測されます。
〈旧型〉と〈新型〉の密着連結器と車両形式
80年代の赤電の先頭車には〈旧型〉と〈新型〉の密連のどちらが装着されていたでしょうか。
私見では、〈新型〉だけが装着された形式と、〈旧型〉と〈新型〉の両方が使用された形式に分けられるように思います。
①〈新型〉だけが装着された形式
551系の先頭車クモハ551形、571系の先頭車クモハ571形とクハ1571形です。これらの先頭車に〈旧型〉密連を装着した姿は思い当たりません。
②〈旧型〉と〈新型〉の両方が使用された形式
クモハ351形、クモハ451形、元601系クハのクハ1651形には〈旧型〉と〈新型〉の両方が見られました。
左はクモハ458、右はクモハ457。〈旧型〉密連(左)と〈新型〉密連(右)の連結。 下山口 1982.9.24 |
〈旧型〉密連で出場間近のクモハ461。 所沢車両工場の外から。 1982.8.21-28 |
〈新型〉密連を装着したクモハ351形(車両番号不明)。 西武遊園地 1985.6 |
〈旧型〉密連を装着したクモハ351形(車両番号不明)。 西武遊園地 1985.6 |
451系や601系のデビュー当時の写真を諸先輩方のHPで拝見しますと、いずれも〈新型〉密連を装着しています。いつ〈旧型〉密連に換装された車両が現れたのでしょうね…。
クモハ451形+クハ1651形 密着連結器のまとめ
80年代に撮影した手持ちの写真を中心に、クモハ451形-クハ1651形の2両6編成の密連についてまとめてみました。なお、言うまでもなく撮影時のことを述べるにすぎません。
別の時期には別の密連を装着していたかもしれません。
←池袋・本川越・是政方 飯能・西武新宿・武蔵境方→
457F 〈新型〉クハ1658+クモハ457〈新型〉
458F 〈旧型〉クモハ458+クハ1657〈新型〉
459F 〈新型〉クハ1660+クモハ459〈旧型〉
460F 〈旧型〉クモハ460+クハ1659〈新型〉
461F 〈旧型〉クハ1662+クモハ461〈旧型〉
462F 〈新型〉クモハ462+クハ1661〈新型〉
編成を見分けるポイント
▶クハ1651形
池袋・本川越・是政方先頭車で密連が〈新型〉なら457Fか459F。〈旧型〉なら461F。
飯能・西武新宿・武蔵境方先頭車で密連が〈新型〉なら区別は難しい。458F・460F・462Fのいずれも〈新型〉なので。
▶クモハ451形
池袋・本川越・是政方先頭車で密連が〈新型〉なら462F。〈旧型〉なら458Fか460F。
飯能・西武新宿・武蔵境方先頭車で密連が〈新型〉なら457F。〈旧型〉なら459Fか461F。
以下、編成番号順、クモハ→クハの順に見ていきます。
457F
〈新型〉クハ1658+クモハ457〈新型〉
クモハ457は〈新型〉の密連です。
クハ1651形と組んだクモハ451形のうち、飯能・西武新宿・武蔵境方先頭車で密連が〈新型〉電連なのは457Fのみと思われます。
459F
〈新型〉クハ1660+クモハ459〈旧型〉
460F
〈旧型〉クモハ460+クハ1659〈新型〉
クモハ460は〈旧型〉の密連です。
461F
〈旧型〉クハ1662+クモハ461〈旧型〉
クモハ461は〈旧型〉の密連です。
この記事既出の所沢車両工場の出場時の写真では電連が付いていました。多摩川線に移動後に電連が撤去されたようです(*注)。
462F
〈新型〉クモハ462+クハ1661〈新型〉
クモハ462は〈新型〉の密連です。
クハ1651形と組んだクモハ451形のうち、池袋・本川越・是政方先頭車で〈新型〉の密連を装着したのはこの車だけと思われます。
462Fのクモハ462。 東村山-西武園 1983.3.4 |
クハ1661の写真は残念ながら手元に見つかりません。
いずれも小稿でいう〈新型〉の密連となっています。
*注)多摩川線の2両編成の片側にのみ電気連結器が取り付けられている理由
多摩川線では朝夕は2両+2両の4両編成、日中は2両で運転されていました。この記事の457Fの項に2両編成を伝える掲出物が写っています。
多摩川線では2両+2両を組む際に武蔵境側に連結される編成と是政側に連結される編成が決められていて、解結の発生する側にのみ電気連結器が装着されていました。この記事の457Fと461Fでは、是政側先頭車には電連を装備しているのに対して武蔵境側先頭車には電連がなく、2本とも2両+2両を組む際に武蔵境側に連結される編成だったことが分かります。
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